沖縄野鳥

アカアシシギ

赤い足で駆け回る渡り鳥

アカアシシギは、夏鳥として北海道東部で繁殖し、冬になると南へ渡り、沖縄県を含む琉球列島で越冬します。旅鳥として本州や四国、九州を経由しながら、日本各地のハス田やため池などを移動し、その姿を見かけることができます。

干潟で獲物を探す様子 - 2025.02.11 漫湖(沖縄県豊見城市豊見城)
ゴカイを食べる様子 - 2025.02.11 漫湖(沖縄県豊見城市豊見城)

沖縄では主に10月から4月にかけて観察され、湿地や干潟、河口、イグサ田、タイモ田などの水辺環境に生息します。冬の間は単独または小規模な群れで過ごし、干潟や水田の表面をつつきながら、小魚や貝類、甲殻類、昆虫などを捕食します。

名前の通りの赤い足

水浴 - 2025.02.11 漫湖(沖縄県豊見城市豊見城)
水浴 - 2025.02.11 漫湖(沖縄県豊見城市豊見城)

アカアシシギは全長約28cmのスリムな体型で、雌雄の見た目にはほとんど違いがありません。遠目では他のシギ類と似ていますが、嘴の根元が赤みを帯びていることや、脚が赤色であることが特徴です。歩行が得意で、獲物を見つけると素早く駆け寄る姿が印象的です。

繁殖期には草地の根元に枯草を使って皿状の巣を作り、4個ほどの卵を産みます。雌雄で抱卵し、22~29日ほどで孵化。雛は早成性で、孵化後すぐに巣を離れ、25~35日ほどで飛べるようになります。

シギ・チドリ類の多くは淡水の近くで繁殖しますが、アフロ・ユーラシア大陸に分布するアカアシシギは塩性沼地で繁殖することもあるそうです。

渡来数は増加するが...

2025.02.11 漫湖(沖縄県豊見城市豊見城)

「ピョピョピョ」「ピークイ」といった特徴的な鳴き声を持ち、飛び立つ際にも鳴くことが多い鳥です。近年、沖縄でのアカアシシギの渡来数は増加傾向にありますが、干潟の埋め立てや水田の減少など生息地が減っており、今後渡りの中継地や越冬地として、エネルギー供給に影響がでる可能性があるそうです。

参考:
沖縄県環境部自然保護課「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編)」
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
漫湖水鳥・湿地センター「漫湖いきもの図鑑」
スミソニアン協会「地球博物学大図鑑」

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