チュウシャクシギ
曲がった嘴が特徴的なやや珍しいシギ

- 分類
- チドリ目シギ科
- 渡り区分
- 冬鳥
- 体長
- 42cm (カモメよりやや小さい)
- レッドリスト
- 低危険種(LC)
チュウシャクシギは旅鳥として全国の海岸や農耕地に飛来し、水辺に限らず乾燥した草原やゴルフ場などでも姿を見せるシギの仲間です。春と秋に日本を通過する旅鳥ですが、渡来数は春の方が多い傾向があります。沖縄でも春と秋の渡りの時期に観察されるほか、一部の個体は越冬するため、9月から4月の長い期間見ることができます。
かつては大きな群れで飛ぶ姿が見られましたが、近年はそのような光景は少なくなっているようです。それでも、シャクシギの中では一番個体数が多く、沖縄では比較的よく出会える鳥のひとつです。
湾曲した嘴の秘密

チュウシャクシギはシベリアの高緯度地方で繁殖し、ニューギニアやオーストラリアなどで越冬します。沖縄や南西諸島でも少数が越冬し、渡りの途中に立ち寄る個体も多いため、シギ類の中でもそこそこ見る種類です。
特徴的なのは、長く湾曲した嘴。主に甲殻類や昆虫を捕食し、特によくカニを食べている姿が観察されることから、この独特の嘴は泥の中にいる獲物を探すのに適していると考えられます。ただし、その裏付けとなる学術的な研究を見つけることができませんでした。実際に私自身で、直線の棒と曲線の棒を口にくわえて前後に動かしてみると、曲線の山なりの部分と山なりでない部分の高さがある分、頭を軽く動かしただけで広範囲を探せることが実感できます。
一度聞いたら忘れられない鳴き声

チュウシャクシギの鳴き声は、「ホイピピピピピ」という口笛のような独特の声。響きのあるこの鳴き声は、一度聞くと耳に残り、頭から離れなくなるほど特徴的です。
参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
沖縄野鳥研究会「沖縄の野鳥」
京都府「京都府レッドデータブック2015」