ムナグロ
夏冬で姿が変わるちょっと大きめのチドリ

- 分類
- チドリ目チドリ科
- 渡り区分
- 冬鳥
- 体長
- 24cm (ヒヨドリよりやや小さい)
- レッドリスト
- 低危険種(LC)
ムナグロは旅鳥として全国の農耕地や草地に群れで飛来し、沖縄を含む南西諸島や小笠原諸島では越冬個体も多く見られます。一般的には水田環境に依存し、干潟や海岸では少ないと言われていますが、沖縄ではむしろ海や干潟で出会うことが多い鳥です。
「キビョ、キビョ」と鳴きながら、群れでにぎやかに過ごしていることも多く、ちょこちょこと歩いては一旦立ち止まり、獲物をついばむチドリ類独特の動き(チドリ足)が特徴的です。ミミズや小昆虫を地面から探しながら、群れで行動する様子は見ていて飽きません。
北極圏からオセアニアへ、大きな渡りをする鳥

ムナグロは、多くのチドリ類と同じく、北極圏のツンドラ地帯で繁殖します。苔や地衣類の上に営巣し、秋になるとオセアニアへ向かう直線的な渡りをします。しかし、春の渡りでは大きく西へそれ、日本列島を経由し20日間ほど滞在するルートをとることが知られています。
沖縄では、春の渡りの直前に越冬地で過ごす姿を見ることができ、全国的にも長めに観察できます。
季節ごとに変わる姿

夏羽になると、名前の通りお腹の毛が真っ黒になり、一目でムナグロとわかる姿になります。しかし、冬羽では黒さがなくなり、名前とは違う印象に変化します。冬のムナグロは少しふっくらしていて、表情もキュートで愛らしい雰囲気です。
また、ダイゼンとよく似ているため、見分けが難しい鳥でもあります。ムナグロは背中に黄色味があるのが特徴で、干潟に集まるのはだいたいムナグロだと言われています。もし干潟で見かけたなら、それはムナグロかもしれません。
参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
国立科学博物館「鳥〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系譜〜」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
長嶋宏之「日本野鳥の会埼玉 ムナグロ Pluvialis fulva の生態と年齢識別の紹介」