コチドリ
黄色いアイリングが光る一番小さなチドリ

- 分類
- チドリ目チドリ科
- 渡り区分
- 冬鳥
- 体長
- 16cm (スズメよりやや大きい)
- レッドリスト
- 低危険種(LC)
コチドリは全国的には夏鳥ですが、沖縄では冬鳥や留鳥として年中見ることができます。国内のチドリ科の中では最も小型で、湿地や干潟、水田など淡水・汽水域の湿地環境でよく見られます。
沖縄での繁殖記録は少ないのですが、2005年5月に宮古島、2005年7月には沖縄島南部の与那原町東浜の埋立地で繁殖例が確認されています。ただし、沖縄では主に秋から春にかけての渡り・越冬期に観察される機会が多い鳥でもあり、旅鳥や冬鳥として普通に見られるため、繁殖数は少ないものの県内各地でよく出会えます。
黄色いアイリングが特徴


コチドリの特徴といえば、目の周りの鮮やかな黄色いアイリング(囲眼輪)です。目力があり、どことなくフクロウのような雰囲気もあって可愛いですよね。
このアイリングは羽毛ではなく皮膚の色で、「囲眼裸皮」と呼ばれます。メジロのように羽毛でできたアイリングとは異なるため、よく観察すると違いがわかります。夏羽ではこのアイリングが特に目立ち、胸の黒い帯模様がはっきりとしています。一方、冬羽では体色が淡褐色になり、アイリングや胸の黒帯が細くなって目立たなくなります。
千鳥足で獲物を狙う

コチドリは昆虫やミミズなどの小型無脊椎動物を主に捕食します。獲物を狙う際には、「千鳥足」と呼ばれるジグザグした動きを見せながら小刻みに移動し餌を取っては数歩歩く、という動作を繰り返します。さらに、浅い水辺では片脚を震わせて地面を叩くようにして水生昆虫をおびき出す採食行動も観察されます。コサギと同じ感じですね。
沖縄ではコチドリとよく似たシロチドリも見られます。しかし、シロチドリは沖縄県レッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に指定されているのに対し、コチドリは特に指定されていません。個人的にはシロチドリの方がよく見かけるので意外です。

参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
国立科学博物館「鳥〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系譜〜」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
嵩原建二・砂川栄喜・比嘉邦昭・宮城国太郎・高良淳司・金城輝男・仲地邦博・長嶺隆「沖縄県内における2003年から2006年までの稀な鳥類の飛来記録と希少な繁殖記録について」