シロチドリ
集団でワタワタする様子が愛おしい

- 分類
- チドリ目チドリ科
- 渡り区分
- 留鳥
- 体長
- 18cm (スズメよりやや大きい)
- レッドリスト
- 絶滅危惧II類(VU)
シロチドリは、全国の海岸や河川、埋立地などで繁殖するチドリの仲間です。北日本では夏鳥として見られ、それ以外の地域では留鳥として定着しています。沖縄では県内の砂浜や埋立地で少数が繁殖しており、沖縄で繁殖する唯一のチドリ類とされています。冬期には渡来個体も加わり、数が増えるのが特徴です。
干潟や砂浜でよく見かける印象があるものの、長年にわたって個体数は減少傾向にあります。特に、砂浜への4WD車両の乗り入れや無人島の観光開発など、人間の影響による営巣地の減少が問題となっています。
砂の上で繰り広げられるユニークな繁殖行動


シロチドリは、コチドリやイルカチドリと比べて砂地や砂泥地を好みます。繁殖期になると、オスは砂地にいくつも窪みを作り、ディスプレイを行います。冠羽や背の羽毛を立てながらメスを呼びますが、メスが気に入った窪みを見つけると、オスを押しのけて自ら入るという独特の行動が見られます。メスが選んだ窪みに対し、オスと協力して小石や貝殻を集めて巣を完成させるそうです。
また、育雛期には親鳥が「疑傷行動」をとり、雛に人や天敵が近づくと、自分が傷ついたふりをして相手の注意を引きつけ、雛を守る姿が見られます。
集団でワタワタする姿が愛らしい

シロチドリの雄の繁殖羽は、頭頂から後頭部が橙褐色で、胸の中央には切れた黒い帯があります。雌や非繁殖羽では、この黒い模様がなく、全体的に淡い色合いをしています。幼鳥も雌に似た姿をしており、淡褐色の体に紅色がかった脚が特徴的です。
集団でいることが多く、波打ち際では10羽ほどの群れがワタワタと走り回る姿が見られ、時折波に足をすくわれてバランスを崩す時もあります、見ていてほっこりします。
参考:
沖縄県「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版(動物編)」
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
沖縄野鳥研究会「沖縄の野鳥」