リュウキュウメジロ
小さな体でハイビスカスなどの蜜を求めて飛び回る

- 分類
- スズメ目メジロ科
- 渡り区分
- 留鳥
- 体長
- 12cm (メジロと同じくらい)
- レッドリスト
- 低危険種(LC)
内地でよく見かけるメジロ。沖縄にもいるのですね。沖縄に生息するのはリュウキュウメジロという本州のメジロの亜種で、奄美諸島から琉球諸島に広がる留鳥です。種子島や屋久島、甑島列島に生息するシマメジロとともに、南西諸島のメジロは2つの亜種がいます。
メジロの各亜種は非常に似ていて識別が難しいと言われていますが、リュウキュウメジロの特徴として、日本のメジロの亜種の中で最も小型で、胸や脇、腹が他のメジロに比べて白っぽく(灰白色)、赤褐色味がないことが挙げられます。また、額にはほとんど黄色が見られません。私の印象では、色の濁りが少なく、緑と白だけでシンプルかつメリハリのある姿をしているように感じます。
甘いものが好き
リュウキュウメジロは、「チーチュルチュル」と早口でさえずり、にぎやかに鳴く鳥です。暖地の常緑広葉樹林に多く、冬季には北海道や北日本の個体が南へ移動し、市街地の公園や庭にも姿を現します。
舌先が筆状になっていて、花の蜜をなめとるのが得意です。柿・ツバキ・梅・サクラなどの蜜を吸う姿がよく観察されますが、沖縄ではハイビスカスやカンヒザクラの蜜を吸うこともあります。ちなみに、ハイビスカスよりカンヒザクラの方が甘いようで、サクラの時期にはハイビスカスの蜜を吸う量が減るのだとか。
ちなみに、昆虫や鳥などの動物が受粉を行わず花蜜のみを奪うことを「盗蜜」と呼ぶそうです。花にとっては災難ですね。
にぎやかなメジロたち

メジロは、移動の際には数十羽の群れを作ることが多いです。また1つの木に複数いることもあり、あちこちの木々でにぎやかに動き回わっています。
以前は100種類ほどだったメジロ科ですが、現在では150種に増えたと言われています。これは種の分割ではなく、むしろ統合が行われた珍しいケースで、メジロの仲間は分類学的にも興味深い存在です。
参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
国立科学博物館「鳥〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系譜〜」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室「メジロ識別マニュアル」
高木昌興「島間距離から解く南西諸島の鳥類相」
籠島恵介「沖縄本島におけるメジロによるハイビスカス花への盗蜜被害率の周年変化」