沖縄野鳥

イソヒヨドリ

沖縄で一番身近な美しい声でさえずる青い鳥

住宅街でも遭遇 - 2025.01.25 住宅街(与那原町与那原付近)
どこでみ見かける -2025.02.02 ホテルムーンビーチ(沖縄県恩納村前兼久)

イソヒヨドリは、私が最初に名前を覚えた鳥です。美しいメロディで鳴くのが特徴で、朝、自宅のベランダで気持ちよさそうにさえずっている姿をよく見かけます。海辺ではもちろん、森や住宅街でも姿を見かけることが多く、沖縄ではスズメよりも圧倒的に遭遇率が高い気がします。

もともとは岩礁海岸に生息する鳥でしたが、1990年代以降、徐々に内陸部でも繁殖するようになりました。現在では、コンクリートの建物の隙間やベランダの裏、電柱の影など、都会の中にも巣を作るようになり、都市鳥としての一面も持っています。特に繁殖期には、昼夜を問わず複雑なさえずりを響かせ、本によっては「ホイピーチョイチョイ、ツツピーコー」などさまざまな表現で鳴き声が紹介されています。夜中に歌っていることもあり、その存在感はなかなかのもの。

鮮やかなオスと落ち着いたメス

鮮やかな色のオス - 2025.02.01 住宅街(沖縄県中城村)
落ち着いた色のメス - 2025.01.25 運玉森(沖縄県与那原町与那原付近)

イソヒヨドリのオスは、鮮やかな青色の羽が特徴的で、日の光を浴びると美しく輝きます。一方、メスは控えめな灰褐色で、一見地味に見えますが、その落ち着いた色合いがまた魅力的です。どちらも岩や松の枝、電柱、屋根などに直立するような姿勢でとまることが多く、地面に降りていることもあります。

昆虫や爬虫類、植物の実などを食べる雑食性の鳥で、ゴキブリまでもを食べることでも知られています。また、島間を移動することで植物の種を運び、植生の広がりに貢献していると考えられています。しかし、最近では内陸部で分布を広げた個体が、ツバメやムクドリの巣を襲い、ヒナを捕食する様子も観察されるようになりました。案外お強いのね。

大型ツグミかと思いきや…

その体の大きさから、大型のツグミ類かと思われていたイソヒヨドリですが、遺伝的には「ジョウビタキ」や「ノビタキ」などの小型ツグミに近いことがわかり、ヒタキ科に分類されています。単独で行動し、群れることはないのも特徴の一つです。

イソヒヨドリは、沖縄の日常でよく目にする鳥です。逃げることも少なく、じっくりと観察したり撮影したりできるのも魅力のひとつですね。

参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
国立科学博物館「鳥〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系譜〜」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
漫湖水鳥・湿地センター「漫湖いきもの図鑑」
国立科学博物館「鳥類音声データベース」

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