リュウキュウウグイス
これは復活したダイトウウグイスなのかも

- 分類
- スズメ目ウグイス科
- 渡り区分
- 冬鳥
- 体長
- 16cm (スズメよりやや大きい)
- レッドリスト
- 情報不足(DD)
ウグイスは日本全国に分布する鳥で、国内には3つの亜種が存在します。「ウグイス」「リュウキュウウグイス」「ダイトウウグイス」「ハシナガウグイス」です。
沖縄本島では、これまで「リュウキュウウグイス」が留鳥として生息していると考えられていました。しかし、近年の研究により、沖縄島には2種類の異なるウグイスがいることがわかってきました。
ダイトウウグイスの再発見
ダイトウウグイスは1922年に南大東島の固有亜種として記録されましたが、その後、絶滅したと考えられていました。しかし、近年の調査により、沖縄本島には「リュウキュウウグイス(灰緑色型)」と「ダイトウウグイス(褐色型)」の2種類が生息していることが判明しました。これまで沖縄島の留鳥とされていたのは実は「リュウキュウウグイス」ではなく、「ダイトウウグイス」だったようです。
現在、ダイトウウグイスは環境省のレッドリストでは2017年から「情報不足 DD」になっており(2015年は「絶滅 EX」だった)、十分な情報がないため絶滅のリスクを評価できないに変更になっています。
また、リュウキュウウグイスはダイトウウグイスと同じ亜種であると判断されました。その結果、2017年のレッドリストでは「ウグイスの1亜種」としての評価が削除され、ダイトウウグイスとして再評価されています。
https://www.env.go.jp/content/900510134.pdf
リュウキュウウグイスとダイトウウグイスの違い

沖縄本島にいるリュウキュウウグイスは実は冬鳥(渡り鳥)であり、本州以北で繁殖し、冬になると沖縄島へ渡ってくることがわかりました。このウグイスは翼が長く、上面が灰オリーブ褐色なのが特徴です。一方、ダイトウウグイスは沖縄島の留鳥であり、沖縄島で繁殖しています。これまで絶滅したと思われていたダイトウウグイスが、沖縄島で生き続けていたとは驚きです。
今までダイトウウグイスは絶滅したことになっており、見分け方の資料があまりありません。(環境省の「ウグイス識別マニュアル」はダイトウウグイスは絶滅したことになっています。)今回の写真もリュウキュウウグイスなのかダイトウウグイスかは定かではありません。
まずはリュウキュウウグイスとして本記事を書いておりますが、同定が間違っていましたら教えていただければ幸いです。
ウグイスの鳴き声

ウグイスといえば「ホーホケキョ」の鳴き声が有名ですが、これは繁殖期のオスが縄張りを主張し、メスを呼ぶための鳴き声です。
江戸時代以前には「うーぐいす」と聞こえていたと言われ、古今和歌集にもその表現が見られます。現在では「法、法、法華経」とも聞き流されることがあり、日本の春の風物詩となっています。
ただし、繁殖期以外のウグイスは「チャ、チャ」と地味な鳴き方をするため、あの美しい声を聞けるのは春だけです。
参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
梶田学・真野徹・佐藤文男「沖縄島に生息するウグイスCettia diphoneの二型について -多変量解析によるリュウキュウウグイスとダイトウウグイスの再評価」