沖縄野鳥
沖縄野鳥

ヘラサギ

くちばしで水をなでるサギなトキ

ヘラサギは、冬鳥または旅鳥として全国の干潟や水田、池などに飛来する珍しい鳥です。ユーラシア大陸の中緯度地域、ヨーロッパから中国北東部、ロシアのウスリーにかけて広く繁殖し、冬になると熱帯アフリカ、南アジア、中国南部などに渡って越冬します。

九州地方での渡来が知られていますが、沖縄にも毎年1~2羽ほどごく少数が飛来し、越冬する姿が観察されています。

ヘラ状のくちばしで水中をサーチ

嘴を水面につけて歩くヘラサギ
嘴を水面につけて歩くヘラサギ - 2025.02.28 三角池(沖縄県豊見城市)

名前のとおり、ヘラサギの特徴はその平たく広がったヘラ状のくちばし。この独特なくちばしを水中に半分入れたまま、左右にゆっくりと振りながら歩き、餌を探します。水が濁っていても、くちばしの先にある鋭敏な感覚器官で獲物を感じ取り、触れた瞬間にパクッと捕えるそうです。
主に小魚、カエル、カニなどの水生動物を捕食します。

クロツラヘラサギと一緒に

周囲にいるのは全部クロツラヘラサギ - 2025.02.28 三角池(沖縄県豊見城市)
周囲にいるのは全部クロツラヘラサギ - 2025.02.28 三角池(沖縄県豊見城市)

ヘラサギは、クロツラヘラサギの群れの中に数羽だけ混ざっていることが多いです。クロツラヘラサギと遠目では似ているため、注意深く観察しないと見落としてしまいそうです。

実は“サギ”じゃない?

まっすぐ伸ばした首でホウロクシギの中に突撃する
まっすぐ伸ばした首でホウロクシギの中に突撃する - 2025.03.29 海岸(沖縄県糸満市)

「ヘラサギ」という名前に“サギ”とありますが、実はこの鳥はサギ科ではなくトキ科。サギに姿が似ているためそのように呼ばれているだけで、分類学的には別のグループです。
サギは飛ぶときに首をS字型に収納するのに対し、ヘラサギはやや前傾姿勢で立ち、飛ぶときには首をまっすぐに伸ばすという違いがあります。
ちなみにクロツラヘラサギもトキ科です。

参考

  • 植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
  • 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-動物編-
ペリカン目の仲間