沖縄野鳥

ゴイサギ

夜に狩をする五位の名前を与えれたサギ

ゴイサギは、かつて沖縄では冬鳥とされていましたが、近年では名護市や金武町などで繁殖が確認され、一部は留鳥として定着しています。現在、沖縄では渡り個体と留鳥個体が混在している状態です。全国的には本州以南では留鳥、東北地方以北では夏鳥とされていますが、北海道でも繁殖が確認されており、その分布は徐々に広がっているようです。

夜に狩りをするけど...

日が暮れて獲物を狙いに来た - 2025.02.02 龍潭池(沖縄県那覇市首里真和志町)

ゴイサギは夜行性の鳥で、日中は林の中で休み、夕方以降に採食を始めます。川の流れや滝の落ち口付近でじっと獲物を待ち、魚を狙う姿がよく見られます。私が撮影したときも、昼間は木の上で眠っており、日が暮れると池に降りてきました。

しかし、夜行性の鳥でありながら、嗅覚や聴覚が特別発達しているわけではなく、主に視覚に頼って狩りをしているそうです。暗闇の中でも視力が頼りとは、大丈夫なのでしょうか???

大層な名前の由来

ゴイサギという名の由来には、平安時代の逸話があります。醍醐天皇が京都の神泉苑(京都市の二条城近く)でゴイサギを見つけ、捕らえるように命じたところ、このサギは家来が近づいても逃げずに大人しく捕まりました。これを「命令に逆らわず神妙である」として、平安貴族の位階である「五位」の位を賜ったのが名前の由来だそうです。なんとも格式高い鳥様です。

杉板焼き AdobeStockより

その一方で、かつては最も多くいたサギであり、美味しいためによく食べられていたそうです。特に夏の味が良いとされ、鷹や弓を使って捕らえ、吸い物や「杉板焼き」という料理で楽しまれていたとのこと。

参考:
川上和人・田中聡「沖縄県小浜島の路上におけるゴイサギの待ち伏せ型採食行動」
日本野鳥の会京都支部「ゴイサギ 鳥ビア」
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」

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