ムラサキサギ
湿地に隠れる幻の紫のサギ

- 分類
- ペリカン目サギ科
- 渡り区分
- 留鳥
- 体長
- 79cm (トビよりやや大きい)
- レッドリスト
- 絶滅危惧II類(VU)
ムラサキサギは、沖縄県内では先島諸島の湿地や水田にだけ生息する留鳥で、沖縄本島では基本的に見られません。
九州以北では渡りの途中に立ち寄った個体がまれに観察される程度で、国内ではかなり珍しい存在です。
現在、宮古島の池間島(池間湿原など)が日本における北限の繁殖地とされており、沖縄島を含むそれ以北では繁殖記録は確認されていません。
湿地の草の中に潜む

ムラサキサギは、湿地の縁にある低木の上に巣を作って繁殖します。姿を見つけるのはなかなか難しく、葦などの背の高い草の間でじっとしているとほとんど見えません。

それでも、ずっと待っていると、たまに湿地の上をふわりと飛んで行き来する姿を見かけることができます。また、湿地の周辺に広がるサトウキビ畑や牧草地などで餌をとっている姿が観察されることもあるそうです。
名前はムラサキ、でも本当に紫?

「ムラサキサギ」と呼ばれていますが、実際の体色はアオサギより少し紫がかっている程度。名前の印象ほど鮮やかな紫ではなく、光の加減によってほんのり紫がかって見える…という感じです。図鑑で見ると派手な色だと思うのですが、葦などの草の中にいるとよく溶け込みます。
顔の形や雰囲気もアオサギによく似ていますが、ムラサキサギのほうが少し小さく、足も短めです。
参考
- 植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
- 高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」