アオサギ
日本に分布するサギの仲間では最大級

- 分類
- ペリカン目サギ科
- 渡り区分
- 冬鳥
- 体長
- 93cm (アオサギと同じくらい)
- レッドリスト
- 低危険種(LC)

アオサギは、日本に分布するサギの仲間では最大で、その大きさから時折ツルと間違われることもあります。全国的には留鳥として分布し、北海道では夏鳥、九州以北で繁殖しています。沖縄を含む南西諸島や伊豆小笠原諸島では冬鳥とされ、冬季には群れで渡来し、干潟近くの林などで越冬する姿が見られます。

近年、沖縄では夏でも目撃されることがあり、一部は県内で繁殖しているのではないかという噂もあります。
増加傾向にあるアオサギ
大型の魚食性の鳥は、農薬や水質汚染の影響で1970年代以降に世界的に減少しましたが、アオサギはむしろ1970年代以降増加傾向にあります。現在では、日本全国どこでも見られる鳥となり、沖縄でも各地で見ることができます。
じっと待ち伏せる狩り

アオサギは、魚類、両生類、爬虫類、昆虫、甲殻類など幅広い餌を捕食し、時には小型哺乳類を捕えることもあります。狩りの方法も多様で、水辺でじっと待ち伏せすることもあれば、浅瀬を歩きながら獲物を探すこともあります。沖縄では潮溜りやリーフの境目などに立ち、魚を狙っている姿も見かけます。
小さな魚は嘴で挟んで捕えますが、コイのような大型の魚は嘴の側面で突き刺して仕留めることがあるそうです。
水辺のイメージの強いアオサギ、実は森を育てる役割も

水辺の鳥として知られるアオサギですが、繁殖は森林で行います。北海道では単独でコロニーを作り、青森以南では他のサギ類やカワウと混合コロニーを形成するそうです。本州では2月から巣作りを始め、遅くとも9月までには繁殖を終えます。
親鳥は水辺で捕えた小魚などを森で待つヒナのもとへ運びます。そして、ヒナが成長する過程で排泄するフンが森の土壌を肥やし、さらに不慮の事故で死亡したヒナの体も、森の動物たちの栄養となります。こうして、アオサギは海や川の栄養を再び森林へと戻し、自然の循環に貢献しています。短期的に見ると営巣地を枯らしてしまいますが、眺めで見ると栄養豊かな土壌を育んでいるといえそうです。これはカワウと一緒ですね。

参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
上野裕介「バードリサーチ バードリサーチニュース2008年9月号」