沖縄野鳥
沖縄野鳥

カイツブリ

潜水が得意な小さな水鳥

カイツブリは、日本全国に広く分布するとても小さな水鳥で、本州中部以南では留鳥、東北以北では夏鳥として生息しています。沖縄では留鳥として年中見ることができ、一部は冬鳥として飛来する個体もいます。

沖縄県内の生息場所

龍潭池のカイツブリ - 2025.03.15 龍潭池(沖縄県那覇市首里真和志町)
龍潭池のカイツブリ - 2025.03.15 龍潭池(沖縄県那覇市首里真和志町)

沖縄県内では主に淡水域の池やダム湖などで観察されます。特に水面が穏やかで水草が茂る環境を好み、各地の農業用ため池や人造湖に少数ずつ生息しています。
「那覇市首里の龍潭池」でよく見られるほか、「沖縄市の沖縄こどもの国(水鳥の池)」や「うるま市のビオスの丘」でも頻繁に目撃されており、その様子はスタッフのSNSでも更新されています。
沖縄諸島と宮古諸島では繁殖記録があり、宮古島では大雨後に出現した農地の一時的な水たまりで繁殖した例も報告されています​。一方、八重山諸島(石垣島など)では適した淡水域が少なく、主に冬季に渡り個体がゴルフ場の池や貯水池で観察される程度だそうです。

沖縄県内のカイツブリは生息数が少なく、環境省のカテゴリーでは軽度懸念(LC)ですが、沖縄県レッドリストでは準絶滅危惧(NT)に選定されています​。県内には点在する淡水域に細々と生息している状態で、生息環境(池沼)の限られた島嶼では個体群の環境収容力も小さく、元々それほど多くの個体数を維持できないそうです。
一方、大型の池のある大東島(例えば大池・月見池)では、亜種のダイトウカイツブリではありますが、多数が生息・繁殖しています。

生活

繁殖期には枯草や水草を積み上げた「浮き巣」を水面に作ります。水上に浮き出ている下には直径50cmほどの支えている部分が隠れています。
卵は2個から数個産みます。雌雄が交代で抱卵し、約20日で孵化。雛は早成性で、孵化後すぐに泳ぎ始めます。

特徴的な行動

冬羽のカイツブリ - 2025.03.15 龍潭池(沖縄県那覇市首里真和志町)
冬羽のカイツブリ - 2025.03.15 龍潭池(沖縄県那覇市首里真和志町)

カイツブリは、足指にヒレ状の水かきがついた弁足を持ち、体の後ろ寄りに足がついているため、水中を泳ぐのにとても適した体のつくりをしています。そのため、潜水が得意で、水中に頻繁に潜って小魚や小エビ、水生昆虫などを捕食します。潜水時間も長く、潜水開始地点から結構離れた場所に現れたりします。
一方で飛ぶのは苦手で、水面をバタバタと走るように飛び立とうとする姿がよく見られます。飛ぶのは苦手ですが繁殖としての池は吟味したいようで、池から池へと移動しているそうです。

カイツブリは短い鳴き声を出すことがありますが、特に特徴的なのは「ケレケレケ」という甲高い声だそう。実は私はまだ聞いたことがありません。

参考

カツオドリ目の仲間