サシバ
沖縄でもっとも身近な猛禽類

- 分類
- タカ目タカ科
- 渡り区分
- 冬鳥
- 体長
- 49cm (カモメよりやや大きい)
- レッドリスト
- 絶滅危惧II類(VU)
サシバは秋田県以南に夏鳥として渡来し、低山や丘陵地帯の山林で繁殖する鳥ですが、沖縄では秋の朝晩の冷え込みが厳しくなってくる頃、大群で沖縄に渡ってきます。特に宮古諸島は最大の中継地とされ、多くの個体がこの地を経由して南へ向かいます。一部の個体は沖縄にとどまり越冬することもあり、10月~4月という長い期間、姿を頻繁に見られます。
渡りのルートは南西諸島

サシバはフィリピンやさらに南の地域まで渡るものもおり、春と秋の渡りでは南西諸島を経由するルートをとります。そのため、沖縄では春秋の渡りのシーズンになると群れで飛ぶ姿を目にすることができます。
これまでに知られているサシバの集団通過地点あるいは集団渡来地は、愛知県伊良湖岬、鹿児島県佐多岬、徳之島、宮古島、伊良部島、石垣島、西表島、波照間島、国外では台湾、フイリピンのバタン諸島があるそうです。それぞれの渡りには、いくつかのグループがあり同じグループは越冬地や繁殖地が決まっているそう。関東以北で繁殖した個体が南西諸島で越冬し、関東以南で繁殖した個体が南西 諸島を通過し最終越冬地のフイリピンあたりまで移動しているのかもしれなとのこと。
名前の由来

名前の由来には諸説ありますが、「サシバ」は「差羽」「刺羽」と書き、一直線に飛ぶ姿に由来すると言われています。その名の通り、まっすぐ力強く飛ぶ姿は、遠くからでもすぐにサシバとわかる特徴的なものです。
沖縄でもっとも身近な猛禽類

サシバは「ピックイー」と特徴的な鳴き声で鳴きます。鳴き声は季節を問わず聞くことができ、飛びながらも鳴くことがあります。
食性は主に蛇やトカゲ、カエル、昆虫、小型哺乳類などの動物食で、農地や草原、森林の端などを飛び回りながら獲物を探し、獲物を見つけて飛びかかり、足で捕らえます。
沖縄県外でよく見かける猛禽類といえば「トビ」が一般的ですが、沖縄では「サシバ」の方がより身近なイメージです。
山や森はもちろんのこと、街の中でも目にすることが多いです。
参考:
植村慎吾「決定版 見分け方と鳴き声野鳥図鑑350」
国立科学博物館「鳥〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系譜〜」
高野伸二「フィールドガイド日本の野鳥」
久貝勝盛「国内・国外におけるサシバの秋の渡りルートについて -標識調査・衛星追跡調査 data の解析―」
環境省自然環境局野生生物課「サシバの保護の進め方」